2013年11月14日木曜日

台湾鯛をおとしめた韓国の報道を許すな!:台湾で抗議活動

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●13日、韓国の台湾鯛バッシングをきっかけとして、台湾で韓国に対する抗議が広がっている。韓流ドラマ・ボイコットを呼び掛ける議員も出現するなど、単なる抗議というよりもいわゆる「嫌韓」の様相を呈している印象だ。


レコードチャイナ 配信日時:2013年11月13日 21時30分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=79096&type=0

台湾鯛をおとしめた韓国の報道を許すな!
台湾で抗議活動、韓流スターボイコットの呼び掛けも

 2013年11月13日、韓国の台湾鯛バッシングをきっかけとして、台湾で韓国に対する抗議が広がっている。
 韓流ドラマ・ボイコットを呼び掛ける議員も出現するなど、単なる抗議というよりもいわゆる
 「嫌韓」の様相を呈している印象だ。

▼台湾鯛は淡水で育つ?!

 問題となったのは韓国テレビ局チャンネルAが2013年10月25日に放映した番組「食品XファイルA」。

韓国に輸入されている台湾鯛が、
●・タイといえば海水魚なのに台湾鯛は淡水で養殖されている。つまりタイではない。
●・きわめて劣悪な環境で養殖されている。近くに養豚場もあった。
●・養殖場の近くでブタ用抗生物質の空き瓶が捨ててあった。魚に投与されているのでは。
と批判している。

▼台湾鯛はタイではない

 確かに「淡水でタイを養殖」というのは驚かされる話。
 だが、ふたを開けてみればたいした話ではない。
 というのも台湾鯛はタイではなく、品種改良したティラピアなのだ。
 ティラピアは肉質がタイと似ており、日本でもイズミダイ、チカダイという名称で流通していたこともあった。

 ティラピアはシクリッド科に属するが、シクリッド科のことを台湾では「慈鯛科」と言うらしい。
 なので台湾鯛という名称には問題がないというのが台湾側の主張だ。
 やや強弁にも思えるが、台湾行政院農業委員会のサイトでは「庶民の魚―ティラピア(台湾鯛)」という、誤解の起きないタイトルで紹介している。

 もっとも韓国の消費者はそうは思っていなかったようだ。
 韓国向けの台湾鯛輸出は刺身用切り身が中心。
 代用魚と明記せずにタイとして提供していたケースもあるという。

 ちなみに台湾鯛=ティラピアということを知らなかったのは韓国人だけではない。
 中国本土のメディア・海峡都市報はこのニュースを報じる際に台湾鯛=マダイとして解説している。
 ティラピアは中国本土では羅非魚という名称で流通しており、よもや台湾鯛と同一品種だとは想像できなかったのではないか。

▼韓流ドラマ、韓流スターをボイコットだ?!

 台湾の報道によると、番組は韓国で大きな反響を呼び、10月26日以降、コンテナ15個分もの台湾鯛の輸入が差し止められたという。
 台湾鯛の価格も急落した。

 事態を受け、養殖関係者ばかりか政府も抗議したが、チャンネルAは韓国国内の悪徳業者を批判するのが主な目的だったと弁明し正式には謝罪していない。
 しかし東森ニュースは番組で映し出された「汚い養殖池」の場所を突き止め、現在は使用されていない養殖池を撮影していると批判した。
 また台湾鯛は厳格な検査を受けており、品質は認められているとも反論している。

 養殖関係者の抗議運動には「台湾製品ボイコットを!」とのプラカードも見られたが、そこに追い打ちをかけたのが嘉義市の張秀華議員。
 「韓国製品、韓流ドラマ、韓流スター、韓国旅行」の四つのボイコットを唱えている。
 ケーブルテレビが発達し多チャンネル時代を迎えた台湾では、安価で話数が多くそこそこ人気がある韓流ドラマはテレビ局にとって便利なコンテンツ。
 韓流ドラマ排斥を訴える声は数年前から聞かれるが、いまだにボイコットの候補に上がる人気を保っているようだ。

▼食品安全報道は売れるネタ、だからこそ慎重さが必要

 食品安全は引きの強いネタである。
 なんだかんだ言っても他国の政治問題よりも身近な食品のほうが気になるのは無理からぬところ。
 だが世に氾濫する「この食品が危ない」話は根拠が怪しいものが少なくない。

 食品安全報道を読むリテラシーが必要だし、報道する側にも他の問題以上の抑制が求められるべきだろう。
 日本にもどうでもいいような話を針小棒大に報道する記事が絶えないが、台湾メディアの報道を読む限り、「食品Xファイル」の報道も「台湾鯛はタイじゃないよ」以外にはまともな情報が入っていないようだ。
 根拠のない報道で他人さまの商売のタネを奪うのは大罪と言うしかない。

■筆者プロフィール:高口康太(たかぐち・こうた)
翻訳家、ライター。豊富な中国経験を活かし、海外の視点ではなく中国の論理を理解した上でその問題点を浮き上がらせることに定評がある。独自の切り口で中国と新興国を読むニュースサイト「KINBRICKS NOW」を運営。




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